Little AngelPretty devil 〜ルイヒル年の差パラレル

    “ハートマーク”  〜バカップルな二人へ10のお題より A
 

最近はあんまり、漫才そのものを扱う番組を見なくなった。
芸人さんたちはそれぞれに、
劇場や公演、ステージなどなど、
お客様と対面式のそういうライブの場で、
ちゃんと研鑽なり経験なりを積んでもいるのだろうが。
一般のファンからすれば、
手っ取り早いテレビってメディアで接するものが、
一番メジャーなそれだと感じるワケで。
それがどっと減れば、
おや今はあんまり流行らないものなのかな?
……なんて感じてしまうというもので。

 「と言っても、それはそれで
  業界の人間の思惑ってのに、
  良いように誘導されてるだけかも知んないけどな。」

な〜んて、
知ったような言いようをする小悪魔坊ちゃんだったのへ、

 「けどよ。
  そういう世界の人ってのは
  視聴率ってのに振り回されてるって聞くぞ?」

凄げぇ顔触れで鳴り物入りで始めたのに、
視聴率が10%も取れなかったから、
予定より早い1クールで終わっちまった…なんて、
もっともらしい裏話とかあるじゃんかと。
関東大会・準決勝に、
お見事居残れましたの賊学カメレオンズの主将さん。
練習後のシャワーにて素に戻った黒髪を、
ざっと乾かしての櫛で整えながら、
こちらもこちらで、
そんな風に聞いたような言いようをするものだから。

 「それは…番組のクオリティにもよるんだろうよ。」

そうじゃなくてだな、と。
自分で話を振っておきながら、
ただの“枕”にそうまで喰いつかんで良ろしいということか。
ちょっとは力んでいるものの、
まだまだ可愛らしい目許を眇め、むむうと口許尖らせてしまった、
色白な金髪坊やが言いたかったのは、

 「一発ギャグってのがちょっとでも受けると、
  それさえ言ってりゃいいってな扱いになって。
  ネタ番組じゃないバラエティでひな壇に座らされて、
  オウムみたいに
  同じこと言ってるばっかになっちまうのが詰まらないって。」

駅前の『ギャルソンヌ』のミキちゃんが
“あ〜あ”なんて言ってたのを思い出したんだよと、
また新しい、しかもコアなお友達ができたらしい小悪魔様、
きっとその部分は全くだと共感したんだろうからこそ、
ひょっこり思い出したんだろうにね。
話を広げんでもよろしいという目上のような態度を取りつつも、
小柄なもんだから動作は無邪気なそれで。
ぴょこたんとベンチから立ち上がり、
小さめのお尻から砂ぼこりをパンパンと払って見せる彼へ、

 「関西の方では、ちゃんと週末に漫才番組もあるらしいぞ。」
 「ふ〜ん?」

じゃあ、メル友のモーリおばちゃんに録画頼もうかなと、
一応はそこまでを付き合ってから、

 「そいでさ。」

ここからが本題ならしく、
細身の櫛で長めの前髪をすくい上げると、
慣れた手際で さらさらぴたりと、
いつもの形へ作ってるお兄さんの、すぐ傍らへと座り直した妖一くん。
何かへ“引いた”時のリアクションを思わせる格好、
ちょっとばかり背条を延ばすと後方へと上体を倒し気味にし、
小さな両手を“お願い”というのとは上下逆、
指先をくっつけ、親指同士はちょっぴり内側へと入れ込んで。
微妙に窮屈そうにしつつも自分の胸元で合わせて見せて、

 「なあなあ、これって何だか判るか?」
 「……ノリつっこみとかしろっていうんじゃないなら、
  何とか注入ってあれだよな?」

何だよ、ラブくらい照れずに言えよと、
言葉を濁したお兄さんだったのへ、
照れてのことと判っているからこそ、
にゃはにゃは愉しそうに微笑った坊やだったが。
配色もなかなかシャレてた組合わせの、
ボートネックのとランニング風のとという二枚のTシャツを重ね着た、
愛らしい坊やがいきなりご披露くださったポーズ。
おおおと、内心ではガン見状態になってしまった
葉柱のお兄さんだとも知らないで、

 「だよなぁ、ルイだって知ってるよな。」
 「俺だってってのは何だ、俺だってってのは。」

お前、時々 普通に失敬だぞと、
それこそ意味が解りにくい言い回しをするお兄さんに、
はいはいと瞬きだけでお愛想を振り、

 「このごろじゃあ、
  芸人のお兄さんの真似っていうのから離れて、
  ただ“ラブvv”ってマークみたいなポーズになってるコレなのによ。」

ピンと、ここがポイントですと言いたげに人差し指を立てて見せ、

 「セナちびがこれを進へとやってみたいって、
  結構長いこと 奮戦中だったんだよな。」
 「おや………。」

  良いのか、そんな話バラしちまってよ。
  いいんだよ、笑えっから。

なんてしゃあしゃあと言ってるうちはよかったが、

 「お前 気ぃ遣うポイントが時々ずれてるよなと、」
 「………っ!」

ああほら、とうとう蹴られてしまった……という、
こちらさんもまた、相変わらずの睦まじさよ。
(苦笑)
お隣りに座ったまんま、
揺らしていた足のかかとで向こう脛をガンと蹴った格好。
だったので、
くぅ〜〜〜っと背中を丸めるほどの痛さを呼ぶよな、
思い切りでもなかったようで。
一応は“お前ねぇ”と今度は葉柱の方が口許をひん曲げたものの、
それへのお愛想、可愛らしいあっかんべぇと
すぐさまの にっかり笑顔を見せられては、

 “……まあいいけどよ。”

それ以上 咬みついてもなぁと、
しぶしぶにしては随分とあっさり、
お怒りの鉾先を収めてしまうのもいつものことで。

 「可愛いポーズなんだ、
  俺がやるよりよっぽど似合いなのにさ。」

小さなお膝の両脇へそれぞれ両手をついての、
肩をすくめる格好にて。
仲良しなお友達の、いかに可愛いかを語り続ける坊やであり。

 「微妙に体が堅いんかな、
  ハートの形がなかなか作れなくって。」

しかもそれを、
胸元へピタッてくっつけるのがまた難儀ならしくて…と、
もう一度、さっきのポーズをやって見せ、

 「俺が背中から手ぇ添えて押さえててやって、
  それで何とか胸元からズレずにいるって感じでさ。」

けなすというより、
何であんな可愛いんだろな あいつと言いたげに、
それは楽しそうに目許をたわめてお話は続き、

 「そいでも何とか頑張って、
  変則の二人羽織みたいな格好で。
  進の前でやって見せたらサ。」

…ってことは、そんな一芸を、
彼もまた 進へとご披露したってことにならんかと。
微妙に眉がひくりと震えかかったもんの、
ここで話の腰を折ってはならぬし、
それで反応するのって立派な焼きもちかもと、

 “〜〜〜〜〜〜。”

何とか堪えておいでの総長さんへ、
これこそがオチだったんだよという進清十郎さんからの反応というのが、

 「胸が痛むのか? どこでぶつけたんだ?って、
  そりゃあ真剣真面目に訊かれてよ。」

途端に“あああ、あ〜あ〜あ…”と、
たまたま周囲に居合わせた王城ホワイトナイツの皆様が、
そろって斜めに傾いたり お顔を覆ったりと見事にコケまくってくれた中。

 『もうもう進さんたら、天然さんなんだから。』

小さな拳で、駆け寄って来たお兄さんのおでこをこつこつって叩いて、
メッと勘違いを叱ったセナくんの、愛らしいツッコミがまた、
微妙なそれになりかかった空気をあっと言う間に立て直してよと。
あそこほどの厳格そうなチームが、
なのにどれほどアットホームにして和気あいあいしてたか、
そりゃあ楽しそうに語る小悪魔坊やだったのへ、

 「そりゃあ良かったよなvv」

傑作だなと笑った総長さんの相槌がまた、

 “ルイさん、子煩悩なお父さんみたいです。”
 “ウチも十分、
  外からの印象とのギャップが凄すぎて、
  とてもとても公開出来ない空気なんですが…。”

他の部員もまだいるんですよという、
ロッカールームの只中でのいちゃいちゃも相変わらず。
こちらさんもホワイトナイツと良い勝負の、
バカップルさんが幅を利かせている、困ったチームだったりするようです。





   〜どさくさ・どっとはらい〜 11.10.21.


  *副題は“お父さんと一緒”でもいいんじゃないか?
   じゃあなくて。
(笑)
   小さい子には、あの“ラブ注入”は
   結構 難しいんじゃないかと思いましたので。
   ちなみに、
   年末からお正月にかけて
   いきなりどんと頭角を現したお人なようですが、
   関西人には“ゲッツ!”同様、
   あの どどす○ダンスからして 最初は意味が分かりませんでした。
   じわじわ流行ったんですか、それとも何か切っ掛けでもあったんですか?

    それはともかく。
(まったくだ)

   どっちもどっちなバカップル(しかも年の差あり)を抱えてる、
   どうにも困りもんなチームでして。
   ……こんなチームがベスト4に居残ってるなんて、
   しまいには罰があたらんか?
(こらこら)

めーるふぉーむvv ご感想はこちらvv

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